プロゲーマーときど初の書籍『東大卒プロゲーマー』発売記念インタビュー!!
Tokido 新書訪談
数々の格闘ゲーム大会において多くの実績を上げ、2011年6月にアメリカの大手周辺機器メーカー“Mad Catz”とスポンサー契約、プロゲーマーとして活躍しているプロゲーマー“ときど”。東京大学卒という異色の経歴を持ち『中井正広のブラックバラエティ』に『ストリートファイター』の達人として出演したこともある。「ゲームとゲーマーの社会的地位の向上を目指す」という思いから設立された団体『TOPANGA』に所属し、毎週水曜日には人気配信番組『TOPANGA TV』に出演している。
『ストリートファイター』シリーズだけでなく、『キングオブファイターズ』シリーズや『鉄拳』シリーズなど多くのゲームで活躍しており、ゲームの要点を見抜く早さを活かした攻略スピードに定評があるときど氏。東大卒の頭脳でどのように物事をとらえ、ゲームに勝つために何が必要だと考えているのか、多くのプレイヤーが気になるところ。そもそもなぜ東大卒という肩書があるにもかかわらずプロゲーマーという職業を選んだのか?
東大卒プロゲーマー
そんな疑問に答えるべく、7月16日に ときど氏が一冊の本を出版する。その名も『東大卒プロゲーマー』。今回は本の内容だけでなく、出版に至った経緯などについて、ときど氏にインタビューを決行。ときど氏の考えるプロゲーマーについても語っていただいたので、余すところなくお伝えしていく。
―― ご出版おめでとうございます。本を出版したいという思いは以前からあったのでしょうか。
ときど氏(以下ときど): 僕が今までやってきた活動っていうのは大会に出ることが主だったんですけど、もっと広く世の中の人に格闘ゲームのことを知ってもらいたいなって、最近特に強く考えるようになったんですよ。それで、大会で活躍するということはすごく大切なことなんですけど、やっぱり大会って、元から格闘ゲームに興味持っている人たち向けてのアピールの場という意味合いが強いのかなあと感じていました。その点ウメハラさんがやってる講演会であったり本の出版というのは、ゲームに興味のない人達に格闘ゲームシーンを知ってもらえるということで、そういうこともやっていきたいと考えてはいました。
―― それはスポンサーであるMad Catzが周辺機器メーカーだからでしょうか? それとも自分が関わってきた格闘ゲームというのをもっと広く知ってほしいという思いからでしょうか?
ときど: スポンサーが周辺機器メーカーだということは、関係性は少ないと思います。僕は、ゲームのプロの役割はゲーム業界の発展に貢献することだと思っています。貢献の仕方は人それぞれなのですが、今の格闘ゲームのシーンに必要なのは新しい人にもっと知ってもらうことだなと感じていたところでした。なので本の出版というのはとても良い機会をいただいたと思っています。
―― 周りの人に伝えた反応はいかがでしたか? ご家族にも伝えましたか?
ときど: 伝えました、親のことについても書いてるので。親がまず第一に送ってきたのは感想云々よりも添削でしたね、うちの親父が大学の先生なので(笑)。
僕と近い位置にいる人に試し読みをお願いした反応は上々でした。僕の性格って多分誤解されてる部分が結構あって、知られてない側面があるみたいなんですよ。それが本に表れてるみたいです。
―― 世間一般で固まってるときどさんのイメージってありますもんね。徹底していて堅実で、情に流されないというような。
ときど: そうですね、それがあると思うんですけど、僕は全然違う人間ですねきっと。
―― ファンの方々はすごく興味があると思います。本の大まかな内容はどのような物になるのでしょうか。
ときど: 内容は、格闘ゲームシーンとはどういうものなのか、格闘ゲームとはどういうゲームでどういう醍醐味があるのか、というところを面白く書いてますし、後は僕の生い立ちとか自伝的な部分も結構あります。
―― 今ワールドカップが開催されていて、格闘ゲームもこういう風に応援してもらえれば楽しんでもらえるのにって思いますよね。日本のプレイヤーも強いし、格闘ゲームはルールがわかりやすいのも魅力ですし。
ときど: だから格闘ゲームのことをもっと知ってもらいたいですね。ゲームファンにはもちろんのこと、ゲームを知らない人にも是非読んでもらいたいと思っています。
―― 同じプロゲーマーのウメハラさんの本がヒットした後に出版するということでプレッシャーはありましたか?
ときど: そうですね。ここで失敗してしまうと「何だやっぱり梅原大吾っていう突然変異がいただけだったんだなぁ。やっぱり所詮はゲーマーか……」とか、そういう風に思われちゃう可能性があるじゃないですか、ここで変なものを出して先が続かないというようなことになるのは嫌だったので、色々な人に話を聞いて時間をかけて調整しました。現段階では自信を持って出してます。
―― 東大卒にも関わらず、なぜプロゲーマーという道を選んだのか? とかプロゲーマーになる時の葛藤とかについても書かれているのでしょうか?
ときど: それは当然書いてます。かなり長い時間悩んで当然葛藤もあったので、それについても書いてあります。
―― プロゲーマーにもさまざまな形があると思いますが、色々なゲームでクオリティの高いパフォーマンスをみせるというスタイルにおいて、世界一と言っても過言ではない程の活躍をされていますよね。ときどさんはプロゲーマーのあり方についてどうお考えですか?
ときど: 先程も言いましたが、プロというものの根っこの部分には「その業界の発展を目指し、それに貢献する」というのが絶対あって、そのやり方は人それぞれで良いと思っています。僕の場合はそれが色々な大会に出て、勝てるだけ勝って存在感を示すというやり方でした。
―― 「でした」ということは、それが変わりつつあるということですか?
ときど: それはそうですね。本を出すという行為もそうですし。
―― 試合内容も、ただ勝つだけではなくそのゲームを触ってみようとか、格闘ゲームを始めてみたいと思えるような内容を目指しているということでしょうか?
ときど: はい。最近は勝つだけのプレーではなく、長期的な目線で強くなるというところを重視するようになっています。
―― そういう心境の変化についても書いてあるのでしょうか?
ときど: 全部書いてあります。
―― なるほど。ゲームの面白さを伝えるということから、ときどさんの心情まで、多くのことが書かれているんですね。
ときど: ですので、多くの方に読んでいただいて、格闘ゲームの面白さを理解していただければと思います。
―― 本日はありがとうございました。『TOPANGAチャリティーカップ』にも取材に伺わせていただきますので、よろしくお願いします。