シャロン・イェルグは野に咲いた花へそっと手を伸ばし、少しの間ためらった後、困った顔をして手を引っ込めた。
在柔和的陽光傾注而下的原野,一朵美麗的花綻放了。
莎倫・耶爾格將手伸向那朵花,猶豫了片刻,帶著困擾的表情收回了手
「……テオ」
助けを求める表情で見上げられ、テオドール・ザザは微笑みを返す。そのまま優しい手つきで花を摘むと、彼は何も言わずシャロンの手元へとそれを運んだ。
「……西奧」
臉上浮現求助的表情,西奧多・薩扎用微笑回應著。之後溫柔的用手將花摘下來,他什麼話也沒說的將花遞給莎倫的手上
「ありがとう、テオ」
まるで不安がほどけていくかのように、シャロンは言いながら柔らかくはにかむ。対し、テオドールは返事の代わりに再び微笑みを浮かべた。
「謝謝你,西奧」
簡直就像不安要溶化似的,莎倫一邊說著一邊害羞著。對此,西奧多的回答只是再一次用微笑代替著。
彼の腕の中に収まるほど小さなシャロンは、皇界という名の異界に於いては頂点の存在である。しかし、あまりに幼いうちに玉座へ担ぎ上げられた彼女は、第三者の評価をして「据え物」--つまりお飾りとしての価値しかないと目されていた。
つい、先日までは。
他的手臂中容納著小小的莎倫是有著皇界之名的異界中頂點的存在。但是,在太年幼繼承玉座的地位的她,第三者的評價是「裝飾品」--即是看起來除了裝飾以外沒有任何價值。
直到,前幾天之前。
(……シャロン様は、変わられた)
シャロンを守るべき「皇の剣」であるテオドールは、改めてそう思う。皇座を継承した頃のシャロンは役割を果たすためだけの人形のようだった。自我は薄く、これといった欲求も無く、放っておけば陽の光に溶けてしまうのではないかと思うほどに儚い、無気力で無感情な少女--青い空を仰ぎながら、テオドールは出会った頃のシャロンを思い出す。
(……莎倫大人已經改變了)
守護莎倫有著「皇之劍」之名的西奧多,再次這麼認為,皇位繼承之時的莎倫只是像人偶一樣的作用。自我意識薄弱而且沒有欲望,如果放任不管就像會被陽光融化掉一樣虛幻的無感情及氣力的少女--仰望著天空,西奧多回憶起初次見面之時的莎倫
「ねえテオ、あの丘の上に行きたいわ」
日傘を透かした光に照らされる横顔には、その頃の面影は既に無い。穏やかな性格はそのままであるが、彼女の表情は近頃ころころとよく変わる。テオドールを困らせるようなワガママも、少し遠慮気味ではあるが、時折口にするようになった。
皇の剣として滅私を誓うテオドールであるが、彼はその変化を心から嬉しく思う。
「吶、西奧,往那山丘上走吧。」
從太陽傘之間透漏的光照到的側臉,已沒有那時候的樣子。已經有著穩定的性格,只是她的表情最近時常改變著。讓西奧多稍微感到困擾的任性、有點顧忌、有時嘴巴就嘟起來了
作為皇之劍有著奉獻無私誓言的西奧多對這個變化感到開心。
「……ねえ、テオ」
ゆっくりと花の咲き乱れる丘を、テオドールに抱えられ登りながら、シャロンは彼を見ずにつぶやいた。テオドールは返事をしない。
「私ね、あなたが居てくれて、本当に良かったと思う」
「……シャロン様」
「ただのお飾りだった私に、テオはいろんなことを教えてくれたよね」
「……吶、西奧」
慢慢在山丘上怒放開花,西奧多抱著她登上去,莎倫沒看著他嘟噥著,西奧多沒有回應
「我想,有你在身邊,真的是太好了」
「……莎倫大人」
「對於只是裝飾品的我,西奧教了我很多事情」
そこまで言うと、シャロンは日傘をたたみ、降り注ぐ陽の光に目を細めた。
ふと、少し強い風が吹く。テオドールはその風からシャロンを守るように、太陽に背を向けた。
「……まるで、テオは大きな空みたいね。優しく、力強く、私をいつも見守ってくれる。私の本当に欲しいものを、いつも何も言わずに与えてくれる」
逆光を背負うテオドールを見つめ、シャロンはそう言いながらはにかむ。思いがけない言葉に、テオドールは胸を締め付けられるような感覚を覚えた。
說完之後,莎倫收起了太陽傘,傾注而下的陽光讓眼睛閉起來只留著細細縫隙
突然,少有的強風吹起。西奧多在那道風下守著莎倫並用背擋著太陽。
「……西奧簡直就像大大的天空一樣。溫和有力總是守護著我。我真正想要的東西,總是還沒說便給我了。」
注視著背負著逆光的西奧多,莎倫一邊說著一邊扭捏著。意想不到的言語,西奧多的胸口感到有揪緊的感覺。
「あのね、テオ。私はね……その……」
シャロンは胸につかえた気持ちを、どうにか言葉にしようとした。だが彼女は、それをどういう言葉にして良いのかわからなかった。
不思議に思ったテオドールは足を止め、シャロンに向けてほんの少し首を傾げる。
「……!」
「這個阿、西奧。我想……這個……」
莎倫堵住胸口的感覺,想用言語說出來,但是她,不知道該用什麼言語來說比較好
感到不可思議的西奧多停住腳步,將頭微微的傾向莎倫。
「……!」
思いがけずテオドールと目が合い、シャロンは咄嗟に唇を噛んでうつむいた。顔が熱い。この気持ちを言葉にしてテオに伝えたい。でも、どんな言葉を選べばいいのか、わからない。
「ええと……」
出乎意料的與西奧多的眼神重合,莎倫立刻咬著嘴唇低著頭。臉上發熱,這個感覺想化成言語傳給西奧。但是,要用什麼言語來說才好實在是不知道。
「這、這個……」
どう言えば、この気持ちがそのままテオに伝わるのだろう。感謝でもなく、謝辞でもなく、もっともっと違う何か……ああ、でも、早く言わないと、私の言葉をテオは待ってる。だから、早く--。
「私はね、テオ。私は……!」
心を絞り出すように、シャロンは言葉を紡ごうとした。だが、テオドールはそっと彼女の唇を人差し指で抑える。
怎麼說才好,這種感覺現在就想讓西奧知道,不是感謝也不是謝語,很多很多都不是……阿阿,只是,不早點說,西奧在等著我的言語,所以,快一點--。
「我想說的是,西奧。我……!」
在心中擠出來,莎倫將言語編織完畢。但是,西奧多將她的嘴唇用手指抵著。
「シャロン様。それ以上は、私には勿体無いお言葉でございます」
言いながら、テオドールはいつも通りに優しく微笑んだ。シャロンは一瞬きょとんと驚いた表情をして、それから一度目を伏せると、丘の向こうへと目を流す。
「莎倫大人。這樣就可以了,對我可以不用多說什麼的」
這樣說完,西奧多露出像平常一樣溫柔的微笑。莎倫一瞬間露出了驚嚇到的表情,在那之後第一次往下看山丘的彼方流下眼淚。(翻譯有點問題 最後那句,求潤)
「……見て、テオ。綺麗な海」
「……ええ」
小高い丘の上、潮の香が混じるそよ風を受けて、二人は何も言わずに佇んだ。
水平線に混じる空と海を見つめて。