生贄の少女[ひかりのうた]
活祭品的少女〔光明之歌〕
「待って、わたしが聞きたいことは、そうじゃないの。ねえ、教えてよ、あなたの、うた。」
「等一下,我想聽的,並不是這個。吶,告訴我的,你的,歌。」
そっと眼を閉じて耳を欹てれば
遠い遠い何処かから風が吹いてくる
悄悄閉上雙眼豎耳傾聽
從遙遠的某處有風迎面吹來
風は運んでくる
ありとあらゆるいのち
そしてそれを終わらせるものも等しく
隨風而來
世間所有生命
然後同時也將終結生命的東西一同
少女はただ 知りたかった この世界の なにもかもを
その命 生まれた意味 何処かに探して
少女僅是 試圖知曉 這世界的 森羅萬象
尋找著 那生命 誕生的意義 又在何方
ゆれるゆられる籠 少女は運ばれゆく
おのれの待ち受ける運命 予感しながら
在晃動搖晃的籠內 少女被搬運而去
預想著自己即將接受的命運
ああ あの空の先 もう知ることは叶わないか
どこまでも自由な“鳥(空行くもの)”のようには
啊啊 在那天空的前方 已經無法知曉了嗎
不能夠像自由自在的“鳥(天行者)"一樣
いつか風が運んできた目に見えぬ災いに
ニエを立って許しを乞うこと――それしか知らない
面對風曾經帶來不可視的災難
奉上祭品祈求原諒ーー只知道這麼做
ただそう生きて ただそう消える
何かを思うにはその命はあまりにも短く
僅是這樣生存 僅是這樣消逝
要思索事物那生命也是顯得過於短暫
もし何かを惜しむのならば
知ることのないまま終わる世界の広さ
若是有什麼遺憾的話
便是未能知曉世界的寬廣結束一生
父も母もいない幼き子の生涯(いのち)、ひとたびの理不尽で閉ざされるのだ
無父無母孑然一身年幼孩子的生涯(生命),終結在一次的不講理。
なにもしらないまま生まれてきて なにもしらないまま消えていくんだ
それが、わたしなんだ――。
一無所知地誕生 一無所知地消逝 那就是我啊ーー
そこは、ひかりのそら。なにもしらないばしょ。
なにか、かたちのないかぜが、わたしをみつめてる。
それは、なにかをつたえてる。しらないことばで。
ひとつ、たしかなことは、わたしはここにいる。
那裡是,充滿光亮的天空。一無所知的場所
好像有,無形之風,正在注視著我
那道風,正傳達著什麼。用我不知道的語言
唯一一個確定的事情是,我正在此處。
なにもない、わたしでも。かかえていた、ねがいことが、あふれてゆく。
即使是一無所有的我,抱持著數之不盡的願望。
「……わたしのなまえは“シューニャ”といいます。
それ以外は、なにも知りません。
「……我的名字叫作“施諾亞"
除此之外,一無所知。
世界の広さを知りたいです。
ちいさな場所だけで生きたから。
我想知道世界的寬廣
因為只有在狹小的空間生活過。
逢ったことの無い人に逢いたいです!
そこに物語があるのなら。
我想與素未謀面的人們相會!
若是那裡擁有故事的話。
いのちがもつ意味を知りたいです。
たとえもうわたしになくとも。
我想知道生命所持有的意義
即便我已經不再擁有。
すこしだけでもいいから。
わたしのための場所をください。
就算只有一點點也罷
請給我一個為我存在的場所
“あなたのいるこのばしょを、わたしにどうか――!”」
“你所在的這個地方,請務必讓給我ーー!"」
そして、かぜがわらうと。あとには、わたしひとり――
然後,風微微一笑。接著,剩我獨自一人ーー